2018年5月30日

対馬市の有識者懇話会への参加について(ご報告)

代表理事の吉野が、平成30年度第1回対馬市有人国境離島新法有識者懇話会(2018年5月30日@対馬市)ならびに平成30年度第1回対馬市総合戦略推進会議(2018年5月24日@対馬市)に出席しました。

会議では、自らの移住・定住や仕事で実感していることを踏まえて、対馬市が取り組む各事業について意見や提案を述べました。

主な発言内容は以下の通りです:

・対馬の暮らしの豊かさと都会のそれとは質が大きく異なる。対馬で暮らす豊かさは、心の豊かさといってもいい。人のつながりや自然資源をお金をかけずに美味しくいただけることなどである。そういった対馬の魅力を数値化して、評価できるような対馬発の”島ぐらしの幸せ指標”を作っている必要がある。そのことで、価値観に変化が現れ、対馬に住みたい、戻りたい若者も増え、移住・定住につながるのではないか。

・先月MITに移住希望者から相談を受けたのだが、対馬で農業を新たに始めたい若者が対馬に農地と借家を求めて探し回っていたようだ。しかし、貸してもらえる農地がないということで諦めて帰ってしまった。現在、対馬では担い手不足により耕作放棄地が増えているが、一方で新規参入できる状況ではない。中間管理機構があるが、実際に農地を貸す仕組みが必要なのではないか。

・島民割は市民からすれば大変ありがたいが、私自身もそれによって福岡で買い物をすることが多くなった。対馬市内での消費が進まなくなっている点は課題である。対馬での消費を進めるためには、島外から対馬に渡る観光客や対馬を離れた対馬出身者を対象とした運賃の低廉化が必要であろう。今後、対象を広げることは計画されているのか。あるいは、LCCを誘致することができないものだろうか(滑走路が短くジャンボ機が離着陸できないために採算が合わないためにLCCが参入して来ることは承知しているが)

・五島市には、五島列島水産流通(株)が五島の水産物を直販で消費者に届けて、売り上げをかなり伸ばしていると聞いている。対馬でも、そのような直販の体制を組織をあげて整備していく必要があるのではないか。本日参加されている廣田政策監に五島の成功事例について状況を教えていただきたい。

・対馬の旬を迎えた鮮魚は信じられないくらい美味しい。マサバ、ハガツオ、ブリ、アマダイ、ヒラマサ、アナゴなどである。対馬の魚のブランド化を進めるためには、対馬産の魚を証明するトレーサビリティの仕組みづくりだけでなく、対馬の魚が科学的・客観的に上手いことをデータで示していく必要があるのではないか。そのような研究が進むことを期待している。

・韓国人や日本人が対馬に来る人数がここ数年で増えているが、リピート率はどのくらいかを把握する必要があるのではないか。低いと考えられるが、そうであれば、あと数年もすれば、対馬にくる韓国人観光客は尽きる可能性がある。今、一生懸命新しい建物や店舗を作っているが、そうなったら大変なことになる。リピーターをいかに増やすか。また、今のうちに福岡など日本人観光客を増やして行き、対馬に何度も足を運ぶファンを増やしてもらえるものを作っていく必要がある。

・対馬はマニア受けする島である。自然や文化、歴史は非常に面白いが、ガイドによる解説があって初めて、その魅力や深さがわかり、対馬にハマる。沖縄のようにわかりやすく綺麗で遠浅の海が広がっているわけではないので、リピーターを作るためには、ガイドを一刻も早く養成していく必要がある。そのためには、専門職短期大学の設立を是非検討していただきたい。

・先日「日本橋長崎館」に行ったが、対馬産のものを探すのに苦労した。対馬地域商社が対馬の商品を集めて、営業に回るなどの役割を担うことを期待している。

そのほか発言をしようと考えたが時間の関係でやめたもの:

・対馬では、農業で若者が新規就業で食っていくのは非常に厳しい。移住してもらい、農業の担い手を確保するためには、例えば、中山の神宮農園さんのように「アスパラ、食肉用の牛、米を作り、資源を循環させ、生計を立てていく」などの筋道とそのための研修制度や経済的な支援を整えていく必要があるのではないか。

・比田勝は、韓国人がせっかく来ているので、本格的な韓国料理やタイ・ベトナム料理、中華料理、インド料理、沖縄料理などが集まるアジアン街をコンセプトにビジョンを描き、それに賛同する飲食事業者に営業をかけ、誘致・補助するような大胆な政策を進めるべきではないか。単に対馬で企業誘致を呼びかけても来る企業はほとんどいないだろう。

・ヤマネコがいる島は日本では西表島と対馬しかない。それほど希少でアイドル性のある象徴的な野生のネコをもっと対馬の活性化のPRに使うべき。もちろん、ツシマヤマネコの保全も対馬市をあげてもっと取り組んでほしい。ヤマネコが生息しやすい里地里山環境を取り戻すことが、生態系サービスを向上させ、水の浄化や食料の供給、野生生物の保全、土砂災害対策、磯焼け対策などに広がっていくことは間違いない。人工的なインフラを維持し続ける財源はなくなる一方なので、いかに自然の力を島づくりに生かすか。それには生態系を保全していくことが一番重要であり、グリーンインフラを進めれば、対馬の土建業者も雇用創出につながる。

今後も継続的に対馬市や長崎県、国に対して、対馬での実践活動から得られた知見やアイデアを発信していき、より良い島づくりに貢献できるように感受性を高めていきたいと思います。